【施術例】まだ4ヵ月なのに体カチカチ!ミックス犬の体に起きていたこと
東京で犬の保護活動をされているBesail_Animalさんのシェルターにて、レスキューされた犬に整体を行いました。
レスキューされた犬の体は、以前の生活環境の影響などにより筋肉のバランスが崩れ、こりが多い傾向にあります。
今回は主に保護された犬たちの体の様子を確認する目的で施術を行いました。
名前:めいちゃん
年齢:4ヵ月
ご事情
・まだ4ヵ月で保健所から保護
・人懐っこい性格
・2頭の兄弟と仲良し
・特に目立った悪い箇所はない
施術前の状態
・殿筋、上腕頭筋、上腕三頭筋、内ももに強いこり
・常に崩れたおすわりをする(お姉さん座り)
・前ももに強い力み
・腰を左右にしならせて後ろ足を前に出す
・後ろ足でブレーキをかけずどすっと音を立てて座る
・お座りから立つときは首で勢いをつけて前足で立ち上がる
まだ4ヵ月なのにも関わらず、力みではなく「こり」がありました。
前足に体重をかけて後ろ足を使わないという、体の使い方の癖があるようです。
本来もも裏を使うべきシーンで内ももを使っているようです。
おすわりの姿勢も前足ばかり使って後ろ足が使えていません。
なぜこの状態になったか
何らかの理由で、後ろ足を使わない癖がついたようです。
もも裏、殿筋が使いにくい状態になっているため、前足を頼っています。
同じように過ごした2頭の兄弟犬もこの場にいましたが、めいちゃんのようなこりは無かったようです。性格も臆病だったりストレスに弱そうな様子でもありません。
どこかを痛めてかばう癖がついたのか、生来のものか、ただの性格による体の使い方の癖によるものなのかは、施術中は判断できませんでしたが……(続きは後述)
重点的にほぐした筋肉
・上腕三頭筋
・殿筋
・もも裏、内もも
前足に体重をかけるため、胸まわりの筋肉が強張っている状態でした(こりではなく、まだ力みの段階)。
体重を支える上腕三頭筋には、しっかり「こり」ができていました。
お尻の筋肉の殿筋、ももの裏側と内側の筋肉も硬く使いにくい状態だったため、重点的にほぐしました。
施術結果
歩き方の比較
▼施術前
・後ろ足を前に出すタイミングで、腰がしなるように動く
・膝を伸ばしたまま歩くことがある
・前足を出すときに首を動かす
▼施術後
・腰の動きが小さくなった
・膝が曲がりやすくなった
・首を動かさなくても前足を出せるようになっている
おすわりの比較
▼施術前
めいちゃんは座るとき、ずっとお姉さん座りの姿勢でした。
座ってからの立ち上がりも後ろ足は使わず、首を
振り下げる勢いと前足の力で立ち上がっていました。
▼施術後
施術後は、自然と膝を閉じた座り方をするようになっていました。
立ち上がりも後ろ足にぐっと力を入れて(まだ左前足にも力が入ってしまってますが)立つ動作に変わりました。
お姉さん座りになる理由はさまざまありますが、後ろ足が使いにくい状態であることが原因です。
施術で使える状態になったから、自ら使うようになってくれたようです。
めいちゃんの体に起きていたこと考察
まだ4ヵ月なのになぜこれほど「こり」ができたのか。
この施術レポートをまとめるため何度も結果を観察していたところ、ひとつの可能性に思い当たりました。
おそらくめいちゃんは、
後ろ足に比べ、前足が短いのではないでしょうか…?
施術後の背中のラインが、どうにも前下がりの直線になっていたことが気になりました。
同じ環境で同じように育った兄弟にこりがなかったことからも、生まれつきの体の形の差であれば説明がつきます。前足に体重をかけざるをえない体の形なのかもしれない、と考察しました。
続けてほしいセルフケア
ミックス犬の場合、大きさの異なる犬の血が流れているため、前後の足の長さが異なる犬にはときどき出会います。
または、まだ4ヵ月という成長途中のため、単純に体が出来上がっていないだけかもしれません。
4ヵ月でこのサイズということは、おそらく成長したらサイズはもっと大きくなると思われます。小型犬と比べ体の大きい犬は成長が少し遅い傾向があることから、めいちゃんの体はまだまだ成長途中です。
成長すれば体のバランスも変わる可能性も十分にあると思います。
前足は負担によるこり。後ろ足は使わないせいでできたこりかもしれません。後ろ足が使いやすい状態になるよう、後ろ足のケアを重点的に行うことをおすすめします。
正しいおすわりのトレーニングをするなど、後ろ足を使える状態を維持することも推奨です。
前足に負担がかかり続けている姿勢が崩れたり、後ろ足が衰えやすくなる原因となるため、成長を見守りながら、ケアを継続していただければと思います。