犬の整体とは?どんなことをするの?
こんにちは。犬の整体師のイツキです。
私は犬という存在そのものが大好きです。
お散歩している犬を見るだけで今日は良い日だと確信しながらニッコニコしてしまうのを、マスクでなんとか隠せている日々です。
ただ職業柄、お散歩中のわんちゃん達を見かけると、ついつい歩き方を観察してしまうんです。
(あの子、膝を使って歩けてないな。腰で歩いちゃってる)
(首を上下させて歩いてる。前足が使いにくいんだろうな)
そうして見ていて、気づいたことがあります。
実は、なんの問題もなく歩けているわんちゃんの方が少ない、ということです。
これは人間も同じですよね。
なんのケアもしていないのに、体に少しもこりがなくて、姿勢に少しも歪みがない人は、私の知る限りでは会ったことがないです。(よほど若いとかは別ですが)
犬も人間と同じように、骨と筋肉によって体を動かしています。
つまり、人間のようにこりが発生しているのです。
でも人間とは違い、犬はこり程度の痛みや辛さは我慢してしまいます。
飼い主さんが「最近急に老化が進んだ…?」と異変に気づいたときには、こりは日常生活に支障をきたすほどの影響を犬の体に引き起こしていた、なんてことも多いのです。
ご自身の愛犬の姿勢の歪みに気づいてほしい。
自分でケアできる飼い主さんが増えてほしい。
だからこそ犬の整体を広めたくて、このブログを開設しました。
この記事では、「犬の整体ってなに?どんなことをするの?」という基本的なお話をしていきます。
犬の整体とは
犬の整体とは、犬の体に不調を起こす原因となる「こり」を解消することで、体を支える筋肉のバランスを整え、犬の姿勢を改善する手技のことです。方法はさまざまですが、犬の筋肉をほぐして柔軟性を取り戻すことで、体の歪みの解消や運動能力の改善が期待できます。
犬の整体のメリット
犬の整体を行うと、以下のような効果が得られることがあります。
- 体の歪みが解消されて、姿勢が良くなる
- 関節の可動域が広がって、体が動かしやすくなる
- 筋肉が柔らかくなり、力を入れやすくなる
犬の整体のデメリット
犬の体調や状態によっては、整体を行えなかったり、効果がない場合があります。
また、施術する側に適切な技術や知識がない場合、触るべきでない部分を触ったり、関節を動かしてはいけない方向に動かしてしまい、思わぬ事故に繋がることがあります。
そのため当サイトで学んだ内容は安全のため、ご自身の責任のうえで、ご自身のわんちゃんのセルフケアのみにご利用いただきたいと思っています。
犬の整体をする前に知っておいてほしい、よくある誤解
1. 治療はできません
「うちの子の症状を治してください」と言って来院される方がいます。
ごめんなさい。残念ながら、治せません。
犬の整体師は治療を行う資格がないため、「治す」という言葉を使うこと自体禁止されています。
治療ができるのは、医師や動物看護師などの国家資格を持つ方だけです。
犬の整体師には特別な資格はありません。
整体はあくまで民間療法であることはご理解ください。
もちろん、犬の整体師の中には獣医師の資格を持つ方もいます。
そういった方々が治療の一環として整体を取り入れている場合もあります。
2. こりが原因の不調にしか効果は得られません
不調の原因が病気やケガだったり、精神的な理由の場合、施術では改善できません。
血行が良くなることで少し状態がよくなることもあるかもしれませんが、一時的なものである可能性が高いです。
3. 整体で筋肉はつきません
高齢な犬の多くが、筋肉が衰えてしまった段階で来店されます。
これは、飼い主さんがこりによる姿勢の崩れに気づかないためです。
筋肉が衰えた老犬に対し「昔みたいに元気に走れるようになってほしい」という結果を整体に期待しているなら、誤解があるかもしれません。
整体では、固まって使いにくくなっている筋肉をほぐします。
つまり「今ある筋肉」を使いやすくするのです。
すでに無い筋肉を新たにつけることはできません。
犬が施術後に力強く歩き出したなら、施術で新たに筋肉がついたのではなく、まだ歩く筋肉が残っていたけど、こりのせいで使えていなかった、ということです。
犬の整体の施術方法
犬の整体の施術方法はひとつではありません。
私の場合は、床に座り、寝そべったわんちゃんを、指で揉む、さする、揺らすなどしてほぐしていくシンプルな手法です。主に筋反射という原理を利用した手技で施術しています。
他にも、ほぐす順番や圧のかけ方に対する考え方、筋肉が柔らかくなる原理はさまざまあるため、施術方法もその数だけあり得ます。
トリミング台などの道具を使う方もいれば、アロマやマッサージなど、ほかのスキルと組み合わせる方もいます。
犬の整体の流れ
例として、私が実際に行っている施術の流れを紹介します。
- STEP1観察する
犬に歩いてもらい、歩き方を撮影して観察します。
- STEP2ヒアリング
飼い主さまに、問題点と改善したい部分についてお話を聞きます。
- STEP3こりの確認
歩き方と相談内容を頭に入れつつ、こりの場所、こりの程度を確認します。
- STEP4こりの原因を考える
こりをほぐしながら、なぜこの筋肉にこのようなこりが発生したか仮説を立てて、飼い主さまに話を聞きながらこりの発生原因を深掘りしていきます。
- STEP5優先順を考えながらほぐす
現在の不調への影響度合いが大きいこりを中心に、全身をほぐします。
- STEP6セルフケアをレクチャー
飼い主さまへ、不調の元凶となっていたこりの解説とほぐし方をお伝えして、セルフケアをお願いします。
- STEP7変化をチェック
最後にもう一度歩いてもらい、変化を確認します。
施術の間隔は?
犬の整体の施術頻度は、犬の状態によって異なります。
長く放置されていたこりほど、一度の施術では緩みきらないことが多いです。
また、犬自身が崩れた姿勢で安定していると感じてしまっていたり、崩れた姿勢のままで問題ないと思ってしまっている場合、その姿勢が癖になり、戻ってしまう時間も短くなります。
(ボディーマッピングといって、人間にもよく起こることです)
特に犬は人間と違って、「この姿勢が不調の原因になっているので、やめましょうね」と言ったところで日常生活を改善してくれるわけがありません。言葉が伝わらないからです。
けれど犬は人間よりも素直な反応をしてくれることが多く、姿勢の変化が目に見えることは多いです。もし施術直後に姿勢が変わらなくても、数日後に体が動かしやすくなったことに気づいたとき、効果が目に見えることもあります。
このように犬の性格によっても、効果の持続時間は変化します。
強いこりを持っており、緊急性が高そうな場合は一週間ほどの間隔でご来院いただくこともありますし、逆にセルフケアによって良い状態をキープできていれば2ヶ月先をご提案することもあります。
ちなみにセルフケアの間隔は(状態にもよりますが)3日に一度ほどでOKです。
たくさんやればよいということでもありません。
長くても一週間に一度はケアしてあげたいです。
まとめ
犬の整体は、体の不調の原因となるこりを取り除くことで、犬の健康維持に役立つ方法の一つです。犬の身体の歪みを整えることで、運動能力や姿勢の改善などの効果があります。
犬の整体のやり方はさまざまありますので、愛犬に合っていると思う手技をご選択ください。
犬を家族の一員だと思っている愛犬家さんは多いと思います。(私もその一人です)
でも毎日一緒にいるからこそ、愛犬の体の変化には気づきにくいものです。
歳を重ねても変わらぬ愛らしさ。でもその体は、意外と疲れているかもしれません。
そんなとき、犬の整体という選択肢を持っていただけたら嬉しいです。