【施術例】パテラで後ろ足が不安定な6歳ヨークシャー

お名前:くるみちゃん
年齢:6歳

目次

お客さまのお悩み

・両後ろ足がパテラと診断された(グレード3)
・後ろ足が不安定

施術前の状態

・膝を曲げないようにして歩いている
・ふくらはぎでジャンプして蹴り出している
・お尻を振って後ろ足を振り回して前に出している
・背中が反っている
・お尻が丸い(腰椎の腹屈)

なぜこの状態になったか

パテラ(膝蓋骨脱臼)グレード3は、膝のお皿が外れやすい状態です。くるみちゃんは歩いているときに膝蓋骨が外れることを嫌がって、膝をなるべく使わない(曲げない)歩き方をしていました。

上の動画で歩き方を見ると、足を前に出すとき膝が伸びた状態です。
そのかわりお尻をふって後ろ足を回して前に出し、ふくらはぎの筋肉を使って跳ねながら地面を蹴っています。

そのため前に進むための負荷がかかる「ふくらはぎの筋肉」がこり固まっていました。また、膝に体重をかけないよう前足に体重をかけていて、「胸の筋肉」「肩甲骨まわりの筋肉」に硬さが目立ちました。

パテラは整体施術では治せません。
でも、姿勢の悪化が原因で膝蓋骨が外れてしまうなら、姿勢を整えるお手伝いはできます。
今回は以下を目的として施術しました!

・前足荷重になっている姿勢を整えて、膝を使いやすい姿勢にする。
・こり固まっているふくらはぎをほぐして使いやすくする。

膝蓋骨(膝のお皿)は膝が曲がっていると外れにくい状態になります。だから膝を使って歩いてほしいのですが、くるみちゃんは自分の膝に違和感を持っていて、膝を曲げたくないと思ってしまっています。

「ちゃんと膝を曲げて歩いてね」といっても残念ながら犬には通じません。でも体が動かしやすくなれば、犬は素直に体を動かしてくれることが多いです(そうじゃない場合も結構あります…!)。

ふくらはぎのこりが解消されると膝は連動により曲げやすくなります。それを期待して、上記2つを意識しながら施術しました。

また、パテラと聞くとどうしても後ろ足に目がいきがちですが、犬の姿勢が崩れる原因は肩甲骨まわりであることが多いです。

姿勢が崩れる悪循環

①老化やけがなどの理由で後ろ足を使おうとしなくなる

②前足ばかり使うようになり後ろ足が衰えていく

③前足側にこりが生まれて肩甲骨の角度が歪む

④肩甲骨の歪みが全身の歪みを生む

⑤前足側に体重をかける姿勢が癖になり、後ろ足がさらに衰えていく

肩甲骨の角度が歪んだ結果、上のような後ろ足がどんどん使えなくなっていくループに陥っているようでした。そのため、前足側のこりをほぐすことに時間をかけて施術しました。

重点的にほぐした筋肉

ふくらはぎ

跳ねて歩くために使われていた筋肉です。
理想的な歩き方をしている場合、もも裏(ハムストリング)の筋肉が硬くなりやすいのですが、くるみちゃんのもも裏は柔らかく、あまり使えていないようでした。本体もも裏が頑張るはずの負担を、ふくらはぎが担っている状態だったのかもしれません。

浅胸筋

起始:胸の中央
終止:腕の上部の内側
作用:肩関節の内転、肩甲骨の外転

後ろ足を使いたくないくるみちゃんは、前足側に体重を乗せてしまうことが多いようです。前足にかかった体重を重力に逆らって持ち上げる(立つ・座る姿勢を維持する)胸の筋肉である、浅胸筋がこっていました。

上腕三頭筋

起始:肩甲骨と上腕骨
終止:肘
作用:肩関節の屈曲、肘関節の伸展

両方こりがありましたが、特に左前足のこりが強かったです。
どうやら右の後ろ足の方が膝蓋骨が外れやすいようで、それをかばって左前側に体重を乗せているようでした。

施術結果

姿勢の変化

正確に比較できるよう、施術前と後で耳と鼻とお尻の位置をそろえ、体重が乗るタイミングが同じ瞬間を切り取りました。

①前足/後ろ足の接地位置が改善
一番よく分かる変化が、足が地面についている位置の変化です。
前足と後ろ足の距離が広がりました。特に後ろ足は、施術前はしっぽより前に接地していたのが、施術後しっぽと同じラインまで下がっています。前足は胸と肩甲骨、後ろ足は骨盤の角度が変化したことで歩幅が改善しました。

②お尻の丸みが改善
しっぽの位置が変わりました。これは下がっていた(後屈していた)骨盤の角度が改善されたことで、お尻の角度が変わったためです。合わせて腰(腰椎の腹屈)の丸みも改善。それにより①のような後ろ足の接地位置の変化にも繋がりました。

③首の高さが改善
施術前も施術後も目線と耳の角度は同じです。つまり同じ角度で見上げたときを比較しています。施術後は首が高く持ち上げられているのが分かります。胸と肩甲骨まわりの筋肉がほぐれたことで、首を上げやすくなりました。また、肩甲骨の位置を調整したことで、前足の接地位置も改善されています。

歩き方の変化

▼施術前

膝を曲げないよう、ふくらはぎでジャンプしてひょいひょい歩き、後ろ足を振り回して歩いていました。

▼施術後

跳ねる歩き方ではなく、最後まで後ろ足に体重を乗せて歩いています。
後ろ足を前に出す瞬間、施術前よりは膝が曲がるようになっています。

まだ6歳という年齢もあってか、こりもほぐれやすく、こりによる体の癖もそう強くなかったようで、かなり素直に姿勢の改善が見られました。

肩甲骨の角度が変わったことで骨盤の角度が変わり、後ろ足に体重を乗せやすくなっています。膝が使いやすくなったためか、自ら膝を曲げて歩いてくれました。
ケアを継続して「膝を曲げても大丈夫」とくるみちゃん自身が思ってくれれば、跳ねて歩く癖がなくなってくれるかもしれません。

続けてほしいセルフケア

浅胸筋、ふくらはぎ

この記事を書いた人

渡辺いつき
犬の整体師

神奈川や新潟で活動しています。
銀髪なことが多いです。
よく間違われますが女性です。

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渡辺いつき
犬の整体師

神奈川や新潟で活動しています。銀髪なことが多いです。
よく間違われますが女性です。

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