【施術例】前足がカクンとなる6歳フレブル
お名前:ローマちゃん
年齢:6歳
お客さまのお悩み
・歩き出した瞬間などに足がカクンとなることがある
・後ろ足を浮かせて振る動作をすることがある
・レントゲンを撮ったが異常はなかった
施術前の状態
▼右前足に注目。2歩目がカクンとなります。
・胴体をねじって歩いている
・手首と足首の筋肉に強いこり
・全体的に前足側のこりが強い
・後ろ足の筋肉が弱め、使えていなさそう
なぜこの状態になったか
まず、飼い主さんが思い当たる点としては、リードを引っ張る前のめり歩きの癖があること、フローリングが滑る素材であることをお話いただきました。
重心が前側なのはリードの引っ張り癖の影響もありそうです。手首と足首の筋肉がパンパンにこり固まっていたのは、フローリングの影響がありそうです。
後ろ足について、年齢のわりにももの前側の筋肉が少なめという印象でした。前のめりの姿勢をしていると後ろ足は本来の蹴り出す働きとして使われないため、衰えやすい状態になっているのかもしれません。
肝心の前足の「カクン」という動きについて、最初は後ろ足の影響を疑いました。ですが後ろ足側には原因になりそうなこりはなく、動画をよく見た結果、前足側の問題であると分かりました。
カクンとなる瞬間、前足のパッド(肉球)が地面をとらえ損ねています。ローマちゃんは、前足を前に出す動作がやりにくいようで、首を振り上げる勢いを使って前足を前に出していました。
カクンとなる動きは、首を振り上げるタイミングがずれたため、前足が思ったより前に出ず、つんのめってしまった、という動きだと推測しました。
まとめ
・前足の可動域が狭くなっている。つまり肩甲骨の動きが悪い状態。
・手首の筋肉が硬く反りにくいため、パッドが地面をグリップしにくい。
首を振らなくても前足が前に出せる状態が目標です。
重点的にほぐした筋肉
手首と足首の筋肉
手首(橈側手根屈筋)と足首(ふくらはぎ群)の筋肉は、負荷がかかっていたことで強いこりがあった部分です。フローリングで姿勢を維持するために踏ん張る動きをしていることが原因かなと感じました。
手首の筋肉が硬いと↓の上腕三頭筋がほぐれにくいため、優先的にケアしたい部分です。
上腕三頭筋
左右ともに強いこりがありました。前足荷重の体を支えるために酷使されていそうな硬さでした。この筋肉のこりは肩甲骨の角度に影響します。
そしてローマちゃんの場合、同じく肩甲骨の角度に影響する胸や背中の筋肉は、それほどこっていませんでした。
よって前腕をほぐしたあとは、ストレッチをメインに行いました。
施術結果
歩き方の変化
▼施術前
前足を出す瞬間に首を上げて勢いをつけていました。
後ろ足は体重を抜くタイミングが早く、ひょいひょい跳ねるように歩いていました。
▼施術後
下を向いた状態のまま歩けています。首を振り上げなくても前足が出るようになったということです。
後ろ足の歩幅が広がりました。施術前と比べて最後まで体重をかけて蹴り切れています。
一見すると、施術後の方が後ろ足がツンと伸びて、不自然な歩き方に見えるかもしれません。これは歩幅が広がったことで膝を後方まで伸ばしているためです。歩幅が広がったのは、肩甲骨が動くようになったことで前足の可動域が広がったことが理由です。後ろ足の可動域が前足の可動域より広いとつんのめってしまうため、前足の可動域に合わせていた状態でした。前足の歩幅が広がったので、後ろ足も遠慮なく広げられるようになった、という感じです。
でも普段使わない前ももの伸びが悪かったり、後ろ足に何らかの違和感がある(足を振る動作の原因は施術では分からずおそらく獣医さん案件)ため膝を曲げたくない様子があることが、ツンツン歩いているように見える理由だと思います。
まだ6歳と若いので、引き続きケアをして柔軟性を取り戻してあげることで、歩き方が変わっていきそうです。
続けてほしいセルフケア
上腕三頭筋、手首と足首
フローリングで滑らない工夫と、リードを引っ張らないトレーニングも検討いただけたらなと思います^^!