【施術例】保護されたばかりのミックス犬の体チェック

東京で犬の保護活動をされているBesail_Animalさんのシェルターにて、レスキューされた犬に整体を行いました。
レスキューされた犬の体は、以前の生活環境の影響などにより筋肉のバランスが崩れ、こりが多い傾向にあります。
今回は主に保護された犬たちの体の様子を確認する目的で施術を行いました。

名前:チョコくん
年齢:推定10歳

目次

ご事情

・昨日シェルターに保護されたばかりの新入りくん。
・抱っこされたことが無いかもしれない。
・長く屋外で飼育されていた。
・何かしらの問題がないか見てほしい。

施術前の状態

全体的に筋肉が力みまくっている
・少し指を入れただけで緊張した筋肉がブルブル震える
・ゆっくりテンポで弱めに押せばすぐ力みがなくなる状態
菱形筋と僧帽筋が特にガチガチ
・肩甲骨の動きが悪く前足が空転している
・腰を左右にねじって後ろ足を前に出してる
臀筋が硬い
・腰が丸くお尻が下がっている
・左後ろ足を前に出す瞬間に腰椎が腹屈することがある

抱き上げられることに慣れていないようで、最初は抱っこを嫌がっていましたが、脇の下(浅胸筋)まわりをほぐしたら気持ちいいことに気づいてくれた様子でした。
脇の下をマッサージしながらご機嫌を取りつつ施術することで、抱っこの姿勢でも大人しく施術を受けてくれました。(その犬のリラックスポイントが分かると施術しやすくなります!)

なぜこの状態になったか

チョコくんは前日にこのシェルターに来たばかりとのこと。
性格は明るく、他の犬の気を引こうとする様子が見られましたが、シェルターのルールがまだ分からないようで、先輩犬に失礼をしては怒られている状態でした。

多少後ろ足に衰えがあるものの筋肉量は十分にあります。
ですが、全体的に強ばって使いにくい状態です。

この理由は、まだ新しい環境に慣れていないことや、知らない人に触られることで緊張している可能性もあれば、以前の生活環境が関係しているかもしれません。
こり自体は10歳という年齢相応で、不自然なこり方はありませんでした。

肩甲骨を支える首~背中の筋肉、次いで胸の筋肉が強く強張っており、前足の可動域が狭くなる原因になっていました。

不自然に腰を丸めて足を前に出す動きは、お尻の筋肉(殿筋)が硬く使えていないことが理由と推測しました。

重点的にほぐした筋肉

・殿筋
・菱形筋と僧帽筋(直接ほぐすわけではない)

前足、胸、肩甲骨の力みが解消され肩甲骨の位置が改善したことで、首~背中(菱形筋~僧帽筋)にかけての強張りも解消されました。
チョコくんの場合は揉みほぐしよりストレッチが有効だったため、肩甲骨周りをほぐして伸ばせる状態にした後、ストレッチを丁寧に行うことで、肩甲骨の可動域を広げていきました。

施術結果

静止時の立ち方比較

・腰の丸まりが改善
・肩甲骨が整い首の後ろが低くなってる

<首のライン>
首~背中の筋肉がなだらかになりました。
強張っていたせいで高い位置にあった(縦になっていた)肩甲骨が、改善した(横になった)ことで、首~背中の盛り上がりがなくなりました。

<お尻のライン>
丸まっていたお尻の位置が高くなっています。前足の歩幅が狭くなっていたことで、連動して後屈し始めていた骨盤の位置が整ったということです。

<足と首の長さ>
足が長くなったように見えます。
肩甲骨が背骨側に引っ張られて(内転して)いた状態が解消されたから、という可能性があります。

首も長くなったように見えます。
これは肩甲骨が胸側に引っ張られていた(全体的に前引)状態が解消されたから、という可能性があります。

考察ポイント

施術後の写真の方が、足が内側に位置しています。一見すると、施術後の方が姿勢が悪くなったかのように見えるかもしれません。

チョコくんは10歳で後ろ足の衰えが始まっています。後ろ足が衰えると前足荷重になります。けどチョコくんは肩甲骨が硬く固定されており、前足を後ろに引く前足荷重の姿勢にさえなれなかったのだと考察しました。

歩き方比較

▼施術前

・回転が大きく、ペタンペタンと空転していた。
・腰を左右にねじって後ろ足を前に出してた。
・前足を前に出すとき頭がぴょこぴょこ動いている。

▼施術後

・前足が出しやすくなったため、空転しなくなった。
・腰をねじらなくても後ろ足を前に出せるようになった。
・頭で前足を持ち上げる動きがなくなった。

前足を伸ばした時の姿勢比較

施術前と後で、歩幅は同じなのに肩関節の位置や角度が違います。

施術前は腰をねじって無理に距離を作っていましたが、施術後は肩が前に出せるようになったため腰をひねる必要がなくなりました。
胸まわりと肩甲骨の可動域が改善したということです。

続けてほしいセルフケア

チョコくんは前足の施術に時間をかけており、後ろ足はそれほど触っていません。なのに、前足の動きが改善したのに合わせて後ろ足の動きや姿勢が改善しました。筋肉の衰えにより前足に体重をかけ始めていることも含め、優先してケアしたいのは前足側です。
力みによる不調が大部分だったため、ストレッチでのケアが特におすすめです!

この記事を書いた人

渡辺いつき
犬の整体師

神奈川や新潟で活動しています。
銀髪なことが多いです。
よく間違われますが女性です。

この記事を書いた人

渡辺いつき
犬の整体師

神奈川や新潟で活動しています。銀髪なことが多いです。
よく間違われますが女性です。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次