【施術例】後ろ足に力が入らず踏ん張りがきかない16歳プードル
七子ちゃん:トイ・プードル(16歳。もうすぐ17歳)
お客さまのお悩み
・後ろ足が衰えてきた。
・トイレで踏ん張りがきかず姿勢を支えにくそうにしている。
・お座りの崩れが気になる。
施術前の状態
・足は体重を支えているだけで、蹴れていない。
・前足加重で肩甲骨の角度が立っている状態。
・後ろ足の筋肉は衰えきっていない。(走るのが大好きな子)
・腰が丸まっている。
・歩こうとする気持ちは強く、後ろ足が必要以上に力んでいる。
なぜこの状態になったか
加齢により後ろ足の筋力が低下すると前足を頼るようになり、前側に体重をかける癖ができます。負荷のかかった前足側の筋肉がこり固まり、肩甲骨の角度が変わります。すると前足は後ろ足の方向に歪みます。そのままだとつんのめってしまうため、バランスを取るために後ろ足の位置が前足側に寄っていきます。その結果、背中が丸くなります。
また、後ろ足の筋力が弱く、股関節が硬いためお座りの姿勢が崩れている状態です。
股関節だけでなく膝も曲がらないため、座ろうとするとお尻が浮いた状態になり、座っても足が伸びた状態でした。
七子ちゃんは肩甲骨の角度の影響で腰が丸まり、うまく足に力が入れられないので、ふくらはぎで頑張って体重を支えている状態でした。
肩甲骨の動きがよくなることで腰の丸まりが改善されれば、後ろ足(特にももの裏の筋肉)が使いやすくなると思い、前足側の筋肉を中心にアプローチしました。
重点的にほぐした筋肉
上腕三頭筋
起始:肩甲骨と上腕骨
終止:肘
作用:肩関節の屈曲、肘関節の伸展
作用としては肩や肘の動きに関する筋肉ですが、立ち姿勢を維持するために重力に逆らう筋肉でもあります。七子ちゃんのように前足に頼っている場合、こり固まりやすい筋肉です。
上腕三頭筋がこり固まると、肩甲骨の動きが悪くなります。
浅胸筋
起始:胸の中央
終止:腕の上部の内側
作用:肩関節の内転、肩甲骨の外転
こちらも作用としては肩や肩甲骨の動きです。
上腕三頭筋と同様に、ここが固まる原因は重力に対して体を支える筋肉だからです。
犬は鎖骨がないため、肩甲骨~腕の骨を筋肉で支えています。浅胸筋はそのひとつです。
菱形筋
起始:胸椎~首
終止:肩甲骨
作用:肩甲骨の挙上、前引、内転
肩甲骨の角度に影響する筋肉です。
上腕三頭筋をほぐしても、菱形筋が硬いままだと肩甲骨の上部の角度が変わらないため、腕を前に伸ばせません。
その他にこりがあった筋肉
棘下筋、ふくらはぎ
施術結果
▼施術前
推進力は前足でした。
後ろ足は、前足の動きに合わせて体重を支える役割でした。
▼施術後
肩甲骨の角度が改善しました。
そのため、以下の変化が起きています。
①背中の丸まりが変化
施術前に首の付け根からはじまっていた背中の丸まりの開始位置が、施術前では腰側になりました。
地面に対して垂直に近かった肩甲骨の角度が、地面に対して並行側に改善されたことを意味します!
②後ろ足で蹴れるようになった
前足の可動域が広くなったことで後ろ足の歩幅も広がりました。
股関節の可動域が変わらなかった代わりに、広がった分の後ろ足の歩幅は膝を曲げることで補っています。
膝が曲がることで、前足に頼りきりだった推進力を後ろ足でも発揮できるようになりました。
ケアを続けることでさらに腰の丸まり(の改善のための肩甲骨の角度)が改善できれば、股関節を動かせるようになり、ももの裏の筋肉が使えるようになるかもしれません。
続けてほしいセルフケア
上腕三頭筋、浅胸筋、菱形筋