「こり」が生じると何がいけない?悪影響について

私はいつも「こりに気づいて早めにケアをしよう!」と発信していますが、そもそもなぜ「こりを放置してはいけない」のでしょうか。

結論から先に言うと、最終的に筋力低下に繋がるからです。

背中が丸くなったワンちゃんを「以前のように元気に走ってほしい」と言って連れてくる飼い主さんがいます。
でも残念ながら、(程度にもよりますが)姿勢を大きく歪めてしまうほどのこりがある時点で、筋肉量が低下し筋力が衰えてしまっている状態であることが多いです。
やせ衰えた筋肉を施術でつけることはできませんから、「以前のように」は整体では叶えてあげられない可能性が高いのです。

だからこそ!
筋力低下が起きる前に、こりが姿勢に影響する前に、生じたこりをなるべく早い段階で撃退することが理想なのです。

それぞれ丁寧に解説していきます。

目次

こりが犬の体に与える悪影響

こりが生じるとさまざまな悪影響があります。血行が悪くなるなどの影響もありますが、整体師として特に問題視したい2つの理由を紹介します。

こりを放置したくない理由①

姿勢が歪んでしまうからです。
筋肉は縮んだ状態で硬くなります。縮んだ筋肉は短くなります。硬く縮んだ筋肉が、骨を引っ張ってしまいます。そして姿勢が歪んでいきます。

姿勢が歪むと「使いやすい筋肉」と「使いにくい筋肉」の差が大きくなります。
ただでさえ、こりは「使いすぎた筋肉」や「使わなすぎた筋肉」に生じやすいため、その差がどんどん開いてしまいます。

その差は最終的に、使わない筋肉の衰えに繋がるのです。

歪んだ姿勢の影響で、使う筋肉はより使うようになり、使わない筋肉はより使わなくなる(使えなくなる)。そしてさらに姿勢が歪んでいく。そんな負のループに陥ってしまうのです。

こりを放置したくない理由②

筋力が低下してしまうからです。
こりによって縮んだ筋肉は、伸びることができないため本来の力を発揮できません。使いにくくなった筋肉は使われなくなり、筋力は低下。弱った筋肉の代わりに別の筋肉で体を動かそうとするため、体の使い方におかしな癖がつき、さらに歪んでいきます。

こりが原因だと判明しケアを始めた頃には、筋肉はもう衰えてしまっていて、以前のような強い力を発揮できるほど残っていないことは本当に多いです。若い子ならまた運動することで取り戻せる可能性はありますが、ハイシニアのわんちゃんに筋トレをさせるのは現実的ではありません。

まだ若いと思ってこりを放置すると、気づいた時には手遅れの状況になってしまうのです。そうなってしまうと、できることは「これ以上筋力を落とさないこと」です。前みたいに元気に歩いて、と思っても、筋肉が衰えて無くなっていたら施術では取り戻せません。

こりができると犬にはどんな様子が見られる?

犬の筋肉にこりができた場合、どの部位に生じたかによって様子は違います。
段階に分けてピックアップして紹介します。

段階①可動域が狭くなる

膝や股関節が曲げにくい、前足の伸びが悪い、など関節の動ける範囲が狭くなります。
歩幅が狭くなり、動きを補うために首や腰を使うようになったり、跳び跳ねるように歩くといった動きの変化が見られるようになります。

段階②姿勢が崩れる

こりが進行してくると、姿勢が歪んでしまいます。
首が下がってきた、腰が丸まってきた、のような変化が分かりやすい例です。おすわりをしたら片足が伸びるようになった、なども姿勢の崩れであり、筋肉が衰えてきたサインです。

例えば、階段やソファを自分でのぼらなくなった、といった場合は、肩甲骨の位置が悪い影響で前足が持ち上がらず、諦めてしまっている可能性があります。

段階③動きが制御できなくなる

体を支える筋力が低下して動きを制御できなくなります。
人間にも犬にも、常に重力がかかっています。私たちはどんな動作をするにもほぼ無意識に、重力に対抗しながら体をコントロールしています。

例えば私たちが椅子に座ろうとするとき、勢いよく座ったらお尻をぶつけて痛いですよね。勢いを制御しながらゆっくり腰かけると思います。このようなブレーキをかける動きは筋肉で制御しています。これがうまくできない犬は、ドスンと座るようになったり、寝そべるときバタッと倒れ込むような動きをします。

段階④筋力が低下する

犬にとって、伏せの姿勢から立ち上がることは人間で言うと「腕立て伏せ」です。
おすわりの動作は「スクワット」です。

お散歩が短くなった、家に帰ってきた飼い主を迎えに来なくなった、などの場合は、体が動かすことが一苦労になっている可能性があります。(単に面倒くさがりな性格という場合もあります)
立ち上がりの動作でふらつく、後ろ足が震える、おしっこの姿勢を保てず尻もちをつく、といった様子が見られます。

多くの飼い主さんはこの時点で犬の整体を利用されます。
でもこの様子が見られる頃には、実はすでにだいぶ筋力が衰えた状態です。

こりを解消する方法

犬の筋肉のこりを解消する一番の方法は、飼い主さんによるご自宅でのケアです。

若い犬であれば、お散歩や遊びを増やすなど、運動でほぐせる部分もあるかもしれません。けれど犬の整体にたどり着く方の多くはシニア犬の飼い主さんです。高齢であるほど、運動は非現実的かなと思います。

犬の整体やマッサージのお店は増えてきています。
自分でケアをしつつ、ちゃんと効果が発揮されているか時々プロにチェックしてもらうというのが理想だと思っています。

月に一度整体に通う、という使い方は十分ではありません。どれだけマッサージや整体でたった一日スペシャルケアをしたところで、効果はそんなに長続きしないからです。

なぜなら、犬は自分でストレッチできないし、悪い姿勢の癖を正そうとする意識も持ってくれないからです。

こりを予防する方法

飼い主さんによる日々のチェックが、一番のこりの予防です。

シニアに突入したけどまだ元気。
7歳なんてまだまだ若い。
だって子犬の頃と同じ顔をしてる。
ドッグランでいっぱい走ってる。
病気も怪我もなくて健康。

「こんな可愛い子がシニアだなんて信じられない」
「まだシニアじゃないもんねー?◯◯ちゃん?」

これは私の家族の言葉です。

実家に帰るたびに愛犬の老化をチェックしています。
衰えが始まってるからちゃんと気づいてね、と言ったら。

「えー!そんなヒドイこと言わないでよー!」

……でした。

愛犬のこりを予防したいなら、

  • こりの存在に気づくこと
  • 適切なケアを続けること
  • 愛犬の老化を認めること

まずはこの3つかなと思います。

自分で判断できない場合は、筋肉の衰え具合や姿勢の変化を見てくれるプロに教えてもらうことをおすすめします。

犬の筋肉のこりをケアする方法

セルフケアのやり方や、姿勢のチェック方法を紹介しています。
ぜひ見てみてください!

この記事を書いた人

渡辺いつき
犬の整体師

神奈川や新潟で活動しています。
銀髪なことが多いです。
よく間違われますが女性です。

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渡辺いつき
犬の整体師

神奈川や新潟で活動しています。銀髪なことが多いです。
よく間違われますが女性です。

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