【施術例】脊髄梗塞の後遺症で後ろ足が使いにくい10歳スピッツ
名前:コロくん
年齢:10歳
お客さまのお悩み
- 腰の筋肉が硬い
- 脊髄梗塞の影響で後ろ足に後遺症
- お座りの姿勢が崩れる(足が広がる)
- しっぽが右に傾く
施術前の状態
- 首を上下させる動きが見られる
- 腰を大きくひねって歩いている
- 体全体を大きく動かして歩幅を確保している
- 臀筋(おしりの筋肉)に強いこりがある
- ハムストとふくらはぎにも強めのこり
- 骨盤が後屈していて、股関節の可動域が狭い状態
なぜこの状態になったか
脊髄梗塞の影響で後ろ足が麻痺してしまった時期があったというコロくん。
現在は歩けるくらいに回復したものの、とくに右後ろ足に麻痺が残っている状態でした。
飼い主さんが最も気にしていた「腰の硬さ」の原因は、麻痺の影響で狭くなった股関節の可動域を補うために腰を大きくひねって歩いていた結果、負担がかかったからと推測します。
後ろから見るとしっぽが右方向に傾いているのは、腰を右へ右へと振ろうとしているためだと思いました。
麻痺自体は整体ではどうすることもできませんが、股関節の可動域が狭くなる原因は他にもいくつかあります。
腰を振らなくても歩けることを目指して施術しました。
重点的にほぐした筋肉
◯殿筋
◯もも裏
◯ふくらはぎ
施術結果
おすわりの比較
施術前は後ろ足のつま先の向きが外向きでした。股関節がきちんと曲げられないため、膝が外側に開いていたということです。
施術後は、膝が正しく折りたためるようになり、膝もつま先も真っ直ぐ前向きになっているのが分かると思います。
足を前に出す瞬間の腰のラインの比較
腰のひねりが改善されたことが分かる比較画像です。
右後ろ足を前に出した時、最も膝が前に出たタイミングの背中のラインを見てください。
施術前はお尻が下がっていました。
施術後はお尻を下げなくても膝が前に出せています。
よく見るとかかとの位置も高く上げられていることからも、膝と股関節が折りたたみやすくなったのが分かります。
後ろ足の歩幅の比較
施術前と施術後を比較すると、後ろ足の歩幅は同じに見えます。
ですが、施術前は腰を振ってこの歩幅。
施術後は腰を振っていないのに同じ歩幅ということです。
腰への負担が軽減される歩き方に改善しました。
歩き方の比較
▼施術前
▼施術後
腰をひねる歩き方が改善しました。
全体的に体の揺れ方が小さくなっているのが分かると思います。
首の上下はあるままですが、引き続きケアを続けることで改善する可能性はあります。(首振りがコロくんの癖になっていて、首を振らなきゃ歩けないと思い込んでしまっている場合は改善しない可能性もありますが…!)
まとめ
コロくんは、麻痺が残る右の後ろ足を前に出す動作が苦手です。首と腰を振ることで補っていました。本来、犬の腰椎は左右に揺れるのが苦手な構造です。そこに負担がかかったことで筋肉が固くなったようです。
このような歩き方をしている場合、前足側がこりやすいものですが、コロくんはまだ前足側に目立つこりがない段階でした。ただ、後ろ足に麻痺が残った状態で歩く時間が長引くという将来を見据えると、今は問題がなくても、前足の可動域を維持するのが大事だろうと思います。今は後ろ足のケアが優先ですが、前足の可動域の変化も見守ってあげてください。
続けてほしいセルフケア
・ももの裏
・ふくらはぎ
本当はお尻の筋肉もケアしていただきたいところですが、長毛で見つけにくく、ちょっと難しいかと思われるため、まずは簡単にできる後ろ足のケアから挑戦してみてください!
こりを触る、こりをほぐす感覚がつかめたら、殿筋のケアについてお伝えさせていただければと思います。